(国際版の日本語訳)
多くの企業による先駆的なパスキー導入と成功事例により機運が継続
日本経済新聞社、東急、グーグル、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、KDDI、LINEヤフー、メルカリ、NTTドコモらが貢献
2024年12月12日、東京 – 150億を超えるオンラインアカウントが迅速で安全なサインインのためにパスキーを利用できるようになっており、昨年の同時期比で倍増しています。FIDOとパスキーの機運の高まりは、本日開催される第11回FIDO東京セミナーの焦点となっており、パスワードへの依存を解消するための最新状況について知見を得るために数百人が参加します。講演は、グーグル、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、Mastercard、早稲田大学、情報セキュリティ大学院大学、KDDI、LINEヤフー、メルカリ、NTTドコモなどからおこなわれます。
パスキーがコンシューマー向けおよび業務用アプリケーションで広く利用できるようになり、企業はその利点を実感しています
パスキーは、パスワードやその他のフィッシング可能な認証方式よりもはるかに優れたシンプルなユーザー体験で、フィッシング耐性のあるセキュリティを提供します。最近、多くのコンシューマーブランドがパスキーの成功事例とビジネス上の利点を報告しています。
- Amazon は日本を含む全ユーザーにパスキーを提供し、今年はすでに1億7500万人のパスキーが登録され、amazon.comとamazon.co.jpにサインインできるようになりました。
- Googleは最近、8億のGoogleアカウントがパスキーを使用しており、過去2年間で25億以上のパスキーによるサインインがあったと報告しました。また、Googleのサインイン成功率は30%向上し、サインイン速度は平均20%向上しました。
- PlayStationを運営するソニー・インタラクティブエンタテインメントは、プレイステーションのユーザー向けにパスワードに代わる新しいオプションとして、「パスキー」をグローバルで導入しました。パスキーに移行したユーザーは、ウェブアプリケーションのサインイン時間が24%短縮されました。高いコンバージョン率も観測され、パスキー登録のオプションが提示されたユーザーのうち88%のユーザーが登録を完了しました。
今年は、Hyatt、IBM、Target、TikTokなどの企業がパスキーで認証オプションを強化するなど、企業における導入も進みました。
また、今年はさらに、Apple、Google、Microsoft、1Password、Bitwarden、Dashlane、LastPassなどより多くのクレデンシャル・マネージャーがクロスエコシステムでのパスキーのサポートを拡大し、コンシューマーにとってパスキー管理の選択肢が広がりました。FIDOアライアンスは、ユーザーがパスキーとその他すべてのクレデンシャルをプロバイダ間で安全に移行するための新しいドラフト仕様を発表しました。
日本には注目すべき勢いがあります
日本では、株式会社日本経済新聞社、株式会社ヌーラボ、東急株式会社から新たなパスキーの導入予定と成功事例が発表されました。
- 日本経済新聞社 は、数百万人の日経ID利用者を対象に、パスワードからパスキーへの移行を開始するため、日経IDへのパスキー導入を発表しました。(2025年2月以降提供開始予定)
- 株式会社ヌーラボ は、今年6月に開催された「パスキーハッカソン東京」の結果を踏まえ、ヌーラボアカウントへのパスキーが使いやすくなったことを発表しました。(2024年11月21日)
- 東急 は、 TOKYU ID ユーザーの45%がパスキーを所有しており、パスキーによるサインインは、パスワードと電子メールで送信されるワンタイムパスワードに比べて約12倍も速いとの報告を行いました。(2024年10月14日)
また、日本経済新聞社、ヌーラボ、東急の各社は、2024年6月に開催された「Passkey Hackathon Tokyo」(主催:Google、協賛:FIDOアライアンス)において、パスキーの実装デモを成功させました。受賞者には、ヌーラボと東急のほか、国内の2大学からの学生2チームが含まれます。
- 慶應義塾大学 チーム:IoTデバイス(3Dプリンターで作成したスマートドアロック)と組み合わせたパスキーの採用で最優秀賞を受賞
- 早稲田大学チーム :パスキーに検証可能クレデンシャルとゼロ知識証明を組み合わせた独自の認証プロトコルとその実装が評価され、FIDO賞を受賞
この2チームに加え、情報セキュリティ研究所(横浜市)のグループは、2024年12月4日に一般社団法人情報処理学会(IPSG)が主催するワークショップにおいて 、「一般ユーザに パスキーの使用を促す通知設計に関する研究」 と題して研究発表を行いました。これらの活動は、アカデミアの学生がパスワードのない生活のための魅力的な選択肢としてパスキーをどのように受け入れているかを示しています。
すでに1年以上パスキーをデプロイしている組織は、新たな成功を共有しています。
- KDDI では現在、au IDのFIDO認証をご利用のお客さまが1300万人にのぼり、その結果、カスタマーサポートセンターへの問い合わせ数はさらにおよそ35%にまで減少しました。
- LINEヤフー のYahoo! JAPAN IDでパスキーをご利用のアクティブユーザーは2700万人、スマートフォンにおいて約50%の認証がすでにパスキーによるものです。同社によると、パスキー認証はSMSワンタイムパスワード認証と比較して成功率が高く、認証速度は2.6倍速いことが確認されています。
- メルカリ でパスキーを登録したお客さま数は700万人。メルカリでは同期パスキー登録しているお客さまにパスキーでのログインを必須化しています。そうしたお客さまとメルコインをご利用のお客さまにおいては2023年3月9日以来、不正ログインが観測されていません。
- NTTドコモ はパスキーの登録者数を増加させ、現在ではパスキーによるdアカウント認証が約50%にまで増加しています。そして、docomo Online Shopでは2022年9月23日以来2年以上にわたり、不正による身に覚えのない購入が観測されていないと報告しています。
FIDOアライアンスは、日本でのパスキーのさらなる普及を促進するため、シンプルでより安全なサインインを実現するためのパスキーを導入する理由や方法について、コンシューマー向けのサービス事業者を対象にしたウェブサイト “Passkey Central” の日本語版、「パスキー Central」を公開したことを発表しました。パスキー・セントラルは、利用者にデータに基づいた実用的なコンテンツを提供することで、パスキーを理解し、実装し、単に導入開始のみならず、実装後も長期にわたって最大限のメリットを得られる運用を可能にします。パスキー・セントラルに含まれている内容は、下記のように包括的です。
- パスキーの紹介
- ビジネス上の考慮事項と指標
- 社内外向けのコミュニケーション資料
- 実装戦略と詳細な導入ガイド
- UX & デザインガイドライン
- トラブルシューティング
- また、用語集、Figmaキット、アクセシビリティガイダンスなど
日本では、FIDOアライアンスの300社以上のメンバー企業のうち66社がFIDO Japan WG(FJWG: 日本作業部会)に積極的に参加しています。FJWGは9年目を迎え、日本におけるFIDOの認知度向上と普及に取り組んでいます。
コンシューマーと企業の従業員はパスキーの存在を知っており、利用を望んでいます
パパスキーはさまざまなサービスで利用できるだけでなく、最近の調査では、コンシューマーと企業の従業員がパスキーを認識し、利用したいと考えていることが示されています。最近のFIDO アライアンスの 調査によると 、パスキーが利用可能になってからの2年間で、コンシューマーの認知度は50%上昇し、2022年の39%から2024年には57%になっています。また、コンシューマーにおいては少なくとも1つのパスキーを採用した場合、4人に1人が可能な限りパスキーを有効にしていると報告しています。また、大多数のコンシューマーが、パスワード(58%)よりもパスキーの方が安全(61%)で便利だと考えています。2023年以降、アジアパシフィック地域のコンシューマーにおいては、2024年の世界平均や他の国と比較して、パスキーの認知度が大幅に高まったと報告されています。中国(80%)、インド(70%)、日本(62%)、シンガポール(58%)のコンシューマーは、ここ1年でパスキーの採用率が大幅に高まったとの報告があり、オーストラリア(52%)と韓国(44%)は全体平均(59%)に近い傾向にあることがわかりました。
ソース:
Online Authentication Barometer 2024: Consumer Trends & Attitudes on Authentication Methods.
Consumer Password & Passkey Trends: World Password Day 2024.
https://fidoalliance.org/content-ebook-consumer-password-and-passkey-trends-wpd-2024/
FIDO アライアンスについて
「高速なオンラインID認証」を意味するFIDO(Fast IDentity Online)アライアンスwww.fidoalliance.orgは、セキュリティと利便性の両立をめざすため、2012年7月に設立されたグローバルな非営利団体です。堅牢な認証技術に相互運用性が確保されていない状況を改善し、ユーザーが多くのIDとパスワードを覚えなければならないという煩わしさを解消することを目的としています。 FIDOアライアンスは、認証におけるパスワード依存を軽減するために、オープンで拡張性と相互運用性のあるシンプルで堅牢な「FIDO認証」を標準化することで、オンラインサービスの本質に変革をもたらします。 FIDO認証はオンラインサービスの利用時に、堅牢でプライバシーが確保された便利な認証を提供します。