複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」、「アミューズメントカジノジクー」、「コミック&カプセルホテル コミカプ」などの店舗運営及びシステム開発、システムの外販を行う株式会社ランシステムが2020年1月にFIDO認証を導入。株式会社ランシステム システム外販部 部長 黒澤一秀様より、FIDO導入に関し詳細なお話を伺いました。
Q. FIDO認証を活用している貴社のサービスの内容と、どのようにFIDO認証を利用されているかお聞かせいただけますか?
弊社は、スペースクリエイト自遊空間という複合カフェ(ネットカフェ)を運営しております。2018年より、店舗スタッフとお客様が対面しない、セルフ店舗システムを自社開発し、セルフオペレーション店舗(セルフ店舗)を増やしています(現在36店舗(内直営34、 FC2))。セルフ店舗では、清掃及び警備を行うスタッフの配置に加え防犯カメラの強化、各店舗の入会、入場確認を一元的にオンライン管理できるシステムと、オペレーションセンターの設置等セキュリティを重視した店舗づくりを進める中、入会するお客様の本人確認、入場するお客様の本人認証を強化するため、FIDOを活用した生体認証を採用しました。お客様が入店の際に、店頭にある入場端末(チェックイン端末)で席指定などを行いますが、その際にお客様のスマートフォン会員証アプリで、FIDO認証を使って会員本人であることを確認します。
なお、弊社のセルフ店舗システムは、ネットカフェ以外にも販売しておりコワーキングスペース等でも利用されています。新型コロナウィルス(COVID-19)感染防止対策が求められる中、非対面オペレーションを実現できる仕組みとして注目されております。
Q. FIDO認証導入前に解決を目指していた課題は何でしょうか?
・来店されたお客様が、会員登録された本人であることを確実に確認すること。(「なりすまし」ができないこと。)
・お客様の入店手続きがスムーズにストレスなく実施できること。
・お客様の本人確認を目視ではなくシステム化することにより、店舗のオペレーションコストを削減すること。
Q. FIDO認証のどの仕様(FIDO2、UAF、U2F)を実装したのでしょうか?
FIDO UAF仕様をベースに導入を行いました。
Q. FIDO認証を選択するにあたり、他に検討したソリューション(例えば、ワンタイムパスワード認証や、別の生体認証等)にはどのようなものがあるでしょうか?
当初、店頭の入場端末に備え付けたカメラで顔認証を行う仕組みを検討しました。
Q. 検討した他のソリューションに対し、FIDO認証を選択した理由をお聞かせください。
店頭の入場端末に備え付けたカメラでの顔認証では下記が課題としてあげられました。
・お客様の生体認証情報を店舗のサーバに保持しなければならないことに対する、情報漏えいリスク
・登録会員数が増大した場合の、認証スピードの低下とシステム運用コストの増大
FIDO認証では上記の課題が容易にクリアーできることが決め手となり、採用に至りました。
Q. FIDO認証の実現について、自社独自の実装ですか? もしくは、実装に協力してくれたパートナーがいますか?
導入にあたっては株式会社ディー・ディー・エスからFIDO認証の構築支援を受けました。スマートフォンアプリへの実装はDDS社から提供されたSDKを自社アプリに組み込み、システム構築からリリースまで短期間で行うことができ、導入決定から店舗での実運用に入るまで約3か月という短期間での開発でした。
Q. FIDO認証の導入効果について、データで共有可能なものがあれば、ご教示ください。
例えば、貴社のサービス/プラットフォーム/製品でFIDO認証を定期的に使っているユーザー数はどの程度でしょうか?また、効果について、定量的、定性的な、もしくは何らかのコメントを頂けますでしょうか?
FIDOの登録数は、1万6千人を越えました。(2020年9月現在)
Q. FIDO認証の導入にあたり、ご苦労された点があればご教示ください。そのご苦労をどのように克服されましたか?
「店舗運用面では、セルフ化によりクレームも少なくなり、スタッフも本来のサービスに注力できます。その一方で、生体認証機能が備わっているスマートフォンを持っていても利用されないお客様も一定数いることも判明しています。初めてのお客様に対しての周知の工夫が必要だと感じています。スムーズに利用いただけるようシステムの改修も行い、「FIDOによる本人認証」対応店舗を都内から順次増やす予定です。」
Q. FIDO認証の展開を検討されている他の企業・組織に貴社からのアドバイスがあればご教示ください。
FIDO認証の導入をすべて自社で行うのは難しいと思いますが、パートナーから提供される仕組みや導入支援を受けることで、通常のシステム開発と同様のスピード感で進められました。顧客にとって使いやすい仕組みを早期にリリースしていくことは、事業展開において非常に重要な要素であると考えています。
Corporate Profile:
企業名:株式会社ランシステム
URL: https://www.runsystem.co.jp/
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